わがまま即興曲。

毛色の違う担当患者

不思議な子だな…

これが僕が彼女に感じた第一印象だった。



僕の名前は谷中 剛。
病院で医者の仕事をしている。

研修医時代を含めると、同じ病院で5年は働いている。
担当している患者もそれなりに増えてきた。

そんな時に出会ったのが、
先輩の北川先生がアメリカに行くからという理由で、
僕に担当が移った、中野彩音さん。

僕の担当患者は、
お年寄りや小さい子供ばかりだったから、
高校生というのは中々新鮮だった。

僕に担当が移ると聞いたとき、北川先生に

「どんな方ですか?」

と聞いてみたら、

「すっごく、可愛い子よ。
谷中君はドキドキしちゃうかもね!」

と言われた。

いや、容姿の話をしているわけではなく…
性格とかそういうことを聞いているのだけど。

どんな子だろう?
女子高生ってやっぱり難しいのかな?

カルテを見ると、沢山ある入院歴。

ここ最近は、入院していないみたいだけど
病気が病気だけに小さいころからよく入院しているらしい。

僕はそれだけで勝手に、か弱くて病弱な子というイメージを持っていた。
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