36.5度のキョリ
厄介な悩みの種
誰もが憧れるさらさら黒髪ストレート。
パッチリ二重の黒目がちな目。
長く濃い睫毛には薄くマスカラを塗って。
最後に飾りすぎない桃色のグロスをオン。
「………よし!」
鏡の前で一回転。
もう一度鏡を覗き込み、ニヤッと笑う。
「今日も織川千春は完璧ね!」
自らの発言に自ら頷く。
ナルシストと言われようが関係ない、最早定番となった朝の儀式を終え、颯爽と無人のトイレから教室へ。