36.5度のキョリ
「………えっ、と」
じわり、じわり。
嫌な汗が背中を伝う。
勉強指導兼生活指導、つまり【和泉くん】のお世話係になれ……ということ?
結論から言うと死んでも嫌だ。
今だって【和泉くん】に挨拶してるのは、その行為が皆の理想の織川千春として求められているからであって。
本心では、
「おはようクソ野郎今朝も貴様のその仏頂面を無理矢理拝まされるこちらの気持ちになれクソ野郎」
……なんて思ってるくらいなのに。
「あの、和泉くん……そんなに単位危ないんですか?」
「かなりね。入学試験の結果を見るとそこそこ出来るはずなのに……あの子授業中ほとんど寝てるでしょう?」