36.5度のキョリ
先生の言う通りだ。
隣の席になってから、嫌でも【和泉くん】の姿が視界にチラつくが、授業中と言えば思い出されるのはどれも突っ伏している姿。
「確かに、寝てばかりですね」
「でしょ?織川さん何とかしてくれないかしら?」
優等生・織川千春なら断るわけがない。
そんな無言の圧力をひしひしと感じながら。
「……分かりました。私で良ければ尽力しましょう」
最早どうとでもなれ。
そんな引きつった笑顔で頷いたのだった。