36.5度のキョリ
和泉という男
身だしなみの最終チェックを終えると鏡の前で一回転。
もう一度鏡を覗き込み、恒例の言葉。
「今日も織川千春は完璧………」
………とは程遠いわ。
ぎこちない笑顔から一転して、眉間に皺が寄る。
……心持は顔に表れるものね。
自然に出そうになった溜め息をぐっと抑え、頬を軽く叩き気合注入。
「今に見てなさいよ、嶋和泉」
早く御役御免するためにも、
必ずアンタを私と並んでも遜色無いくらいの【イケイケ爽やか優等生】に矯正してやるんだからね!