36.5度のキョリ
「おはよう、和泉くん」
「………」
「おはようございます、和泉くん」
「……………」
「お は よ う い ず み く ん」
「……ああああクソッ!」
バンッ!と大きな音を立て、突っ伏していた上体を勢い良く上げた和泉くん。
その目は、誰の目から見ても分かる程の怒りを宿している。
不穏な空気に、なんだなんだとクラスメイトの視線がこちらに注がれる。
「うるさいんだよ、何がしたい」
「あの、和泉くん」
「……あ?」
「話があるんです。放課後少し時間頂けますか?」