36.5度のキョリ
織川千春、17歳。
眉目秀麗、頭脳明晰な委員長。
彼女に憧れる男の数は数知れず。
女の数も数知れず。
職員からの信頼もあり、
人望厚き学園のアイドル。
……そんな織川千春こと、私。
今日も隣の席のクソ野郎……っと口が滑った。
改めて。
隣の席の【和泉くん】の仁義ない罵倒を、
真綿でそっとくるむように、完璧な織川スマイルで打ち返しましたよっと。
「……ちっ」
隠す気もない、悪意のこもった舌打ちをかまし、和泉のクソ野郎は不機嫌そうに机に突っ伏す。