36.5度のキョリ


「おい和泉。お前昨日の夜さ、南の商店街いただろ?」


「………んー」



クラスメイトからの突然の絡みに、【和泉くん】はダルそうに体を起こす。



「姉ちゃんが見たってさ!お前あんなとこで一人なにやってんだよ」


「ほっとけ。つかなんでお前の姉ちゃん俺のこと知ってんだよ」




……男には普通なのよね。


雑談に発展していく彼らの会話に聞き耳をたてながら、チラリと盗み見する。



ほら、普通に笑ってるし。



……わからないな。


女の子にもせめてまともな返事をするくらいしたら、私みたいにチヤホヤされる安定した学校生活が待ってるはずなのに。


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