36.5度のキョリ
その日の放課後。
優等生で先生からの評判も上々な私は、元々何かと手伝いや頼みごとをされることが多いのだけど。
「………は?」
今回は才色兼備な優等生・織川千春にあるまじき間抜けな声が出るくらいの無理難題を押し付けられてしまった。
「本当に申し訳ないんだけど、織川さんしか頼める人がいないのよ〜」
「い、いや……でも先生……」
「大丈夫!和泉くん、素質はあるのよ。ただやる気がないというか……。
でも織川さんがお尻に火をつけてくれたら、きっと彼頑張れると思うの」
無理だと思います。
「ほら、それに和泉くん極度の女嫌いでしょ?でも織川さんとは会話するって聞いたの」
【おはよう→うるせえブス】は会話にカウントするんですか?
「だからお願い!和泉くんの勉強と、生活態度の矯正役頼まれてくれないかな?」