【新】俺様社長の溺愛
「貴女の席はここ」

そう言って指差されたのは、歩さんの隣のデスク。

「何もわからないので、色々教えてください」

「もちろんよ、私、上野歩(うえのあゆみ)。

貴女21歳でしょ?私は27歳。だいぶ年上だけど、

そんなにかしこまらないで、仲良くやりましょ?

そうじゃなきゃ、貴女の心も体も持たないわ」


その言葉に笑顔で頷く。

歩は、本当に気立ての良い人のようだ。

「早速なんだけど、色々と挨拶回りに行くから、鞄持って」

「取引先、ですか?」


「そうよ。ここは営業課だからね?

お得意様には、自ら足を運んで顔を覚えてもらわなきゃ」

「はい!頑張ります」

私の威勢の良さに、歩さんはクスッと笑った。


…それから歩の担当する得意先、なんと20件。

足が棒になるほど歩いて回った。

「…上野さん、凄いですね?全然疲れてない」

溜息交じりにそう言った私を見て、歩はハハッと笑った。
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