【新】俺様社長の溺愛
「私は帰るけど、愛海ちゃんはどうする?」

「あ、私は今日回った取引先の資料を見てから帰ります」

「そう?じゃあ、お先に…あんまり無理しちゃダメよ?」

「はい」

歩がオフィスから出ていったのを確認して、大きな溜息をつく。

…まさか会社の社長と待ち合わせだなんて誰が言えるか?

自分の兄だとは言え、血の繋がりはない。

…大体苗字も違うのに、兄ですなんて誰が信じるだろうか?


私はパソコンを開き、さっきの宣言通り、

取引先について、いろいろ調べたり、確認したりしていた。


・・・それから時間は過ぎ、突然携帯が鳴った。


「もしもし?」

知らない番号だった。

「私、北条社長の秘書をしてる西島と申します」

「・・・はい」

「社長の仕事が終わりましたので、駐車場に先に行っているようにと、

伝言です」


「そうですか、わざわざありがとうございました」

そう言って電話を切り、時計に目をやると、8時を少し回ったところだった。
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