【新】俺様社長の溺愛
一線を越えた次の日の朝。

オレは、愛海を離すことなく、朝を迎えた。

とても静かで、愛海の寝息だけが聞こえる。

…至福の時。

「・・・ん・・」

そんな至福の時は、すぐに終わりを告げた。


目を覚ました愛海は、オレと目を合わせる事すらなかった。

「・・・愛海」

「・・・帰って」

「・・・え」

「帰って・・・秀人兄さん」

・・・その悲痛にも聞こえる声に、オレは言葉を詰まらせた。


「愛海、オレは」

「何も聞きたくない・・・帰って」

それ以上言葉が出なかった。

オレは、自分の事しか考えていなかった。

・・・愛海の気持ちなど、全く考えず、

愛海を傷つけたのかもしれない。


…オレは黙って立ち上がり、着替えを済ませると、

部屋を出た。

・・・愛海には、もう、会えないかもしれない。

兄妹としても。

< 45 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop