【新】俺様社長の溺愛
課長は追いかけてくることはなかった。

…廊下で二人きりになり、私は目線すら

秀人に合わせなかった。


「・・・何?…私は、秀人兄さんに話なんてないわ」

そう言って、部屋に入ろうとする。

でも秀人は絶対に私の手を離そうとしない。


「あの晩の事は謝る」

「・・・謝る?」

・・・あんなことをしたくせに、今更謝られても。

私は秀人を睨んだ。


「あの行動に、嘘偽りはないし、自分の思いのままに

行動したが、愛海の気持ちを何一つ考えてなかった。

…悪かった」


「今更・・・謝らないで」

そんな事をしたからって、許すとか、許さないとか、

そう言う問題じゃない。


「もう、愛海には触れない」

「・・・え?」

秀人の言葉に驚き、この時初めて秀人の顔を見た。

凄く悲しそうな目で、私を見ている。
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