蒼月
籠の鳥。
『飛ぶことは忘れてしまった』
『私は籠の鳥だから』
全て自分を肯定する為の言い訳


籠の扉は開かれているのに
気付いているのに
まだ飛べるのに飛ぶことを止めてしまった


扉から目を伏せてしまった


外の世界を恐れ傷つくのを恐れ自ら籠の中にいる


籠の中なら安全だから
傷つけられることもないから
考えなくてもいいから


与えられる幸せに身を任せていれば
でも、何かが違うと分っている


そう思い始めたのは自由に舞う貴方に出逢ったから
飛ぶことを恐れず自分を信じて突き進む
その姿を見たから


だから私も籠から出てみる


傷つくかもしれない、傷つけられるかも
でも貴方と同じ空を見てみたいから


羽ばたいた後に残ったのは空っぽの籠と白い羽根
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