君の隣で。

教室。
いつも通りドアを開け入っていくと
女子に囲まれている一瀬省の姿があった。
しかもよりによって一瀬君の隣だ。
でももちろん、喋る事なんてない。
それは、一瀬君自体が女嫌いという噂が
あるし、親しく喋る事で 女子から反感を
もらうことも嫌だからだ。

中学の時は、容姿がいいから調子のってる
だとか、男好きだとか。散々な噂を流されて
冷たい目で見られたものだ。
だから、
普通に恋なんてせずに楽しく─。
その言葉が体に染み付き震え上がらせていた。
そんなある日、体育館掃除を任され
1人黙々と掃除をしていた。
そして、誰も知らないだろう体育館の小さいテラスに出た。
ふう。と一息つくと校庭でサッカーボールを
追いかけ走る一人の男子に目を奪われた。