不器用な愛情表現

司side



俺は綾の事になると、いつもの自分を忘れる。


多分、綾の前では俺は無口で無表情なつまらない彼氏なんだろう。


いつもの場所で待ち合わせをして、約束をしないのに昼休みお弁当を持って俺の教室に来る。


だけど俺は気付かない振りをして他の人と食べる。


そのたびに綾は泣きそうに顔を俯かせ、自分の教室へと戻っていいく。


嬉しいはずなのに、俺は素直に態度にあらわす事が出来ない。


綾限定で。


綾が嫌いなわけじゃない。


だけど、余裕がなくなるんだ。

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