不器用な愛情表現


そんな司君に、私も何も言わずに、ただ司君の隣を歩くだけ。


会話って言う会話はいつも挨拶だけ。


手を繋ぐ事もなければ、私たちの間には5m程の距離がある。


司くんが私の先を歩いて、私がその後ろを歩く。


静かな時間の間に、二人の足音だけが聞こえる。


これが、いつもの風景なんだ。


「司くん」


勇気を振り絞ってそっと後ろから話しかけてみると、彼は立ちどまる。


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