不器用な愛情表現


いつも司くんは近づこうとすれば突き放す。


突き放して、私の前を歩くんだ。


そんな司君に、私は置いて行かれてばかりで、どんなに追いつこうとも司くんは、いつも私の5m前を歩いている。


「司くん」


「だから何?」


「司くんは遠すぎるよ」


「俺には綾が遠すぎるよ」


意味が分からない。


自分が遠ざけているくせに。



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