不器用な愛情表現


一人モヤモヤ考えていると、司君の周りにはあっという間に男の子や女の子が集まっていた。


司くんは私といるときだけ、無表情で無口。


だから、他の人には笑った顔や怒った顔、拗ねた顔とかもしている。


分かっているのに、そのたびに胸が痛む。


「つ、司く――……」


「ね、司!今日帰り度っか寄らない?」


ほら、司君に届けたい私の声は、簡単にかき消されてしまって、司くんには届かない。



< 9 / 70 >

この作品をシェア

pagetop