そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
この男、何を言ってんだろう……私がお金なんて持ってるワケないじゃん!現在の所持金は、島で1年掛け必死こいて貯めた5万円也。
でも、会社のビルとは違いとても綺麗で立派なマンションを見て一気にテンションが上がる。
いい感じだ。これぞ私が求めていた花の都、首都東京だ。
実はこのマンション、島で私が尊敬してやまない師匠がまたまた二週間前に東京に行く用事があり、私の代わりに契約してきてくれたマンションなんだ。着いたらまずポストを見るようにと、小さな鍵を渡されていた。
「あの~もう一つ聞きたい事があるんですが……ポストってどこにあるんですか?」
「はぁ?俺をからかってんか?」
「からかってなんかないですよー。以前住んでた家は一軒家だったから、マンションのポストの場所が分からなくて~」
失礼男が呆れた顔をしてマンションの玄関に向かって歩き出し入口の横をまた無言で指差す。
「これがポストか!えっとー……2501号室と……あ、これか!」
小さな鍵でポストを開けると大量の紙が溢れ出し辺りに散乱。
「あわわ……なんてこった……」
慌てて紙を拾い集めていると"契約書在中"と書かれた茶封筒が現れ中にはマンションの契約書諸々と共にメモ書きが入っていた。それには玄関のロック解除の方法とやらが書かれていて……
「なになに?暗証番号は8564……?」
暗証番号?……意味不明……
「あの~たびたびすみません……暗証番号ってなんですか?」