そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「で、太一郎さん、めっちゃ興奮してたけど、なんの用事だったの?」
「あぁ、前に会社の専務を誰にしたらいいか聞かれて、おっちゃんのお勧めの人は止めた方がいいって言ったんですよ。
そしたら、そのお勧めの人が会社を裏切ってたそうで……感謝されちゃいました」
「へぇ~鈴音っち、凄いじゃん!」
「いやいや、それほどでも~」
100万を貰ったのが嬉しくて、つい調子に乗って極秘だと言われていた占いの話しをペラペラ喋ってしまった。でもまぁ、ユミちゃんならいいよね。
――――それから2日ほど経った日のこと……
会社に出社すると、昨日まで落ち込んでいた社長が別人みたいにテンションを上げ、私を呼び一枚のパンフレットを自慢げに見せてきた。
「んっ?ミステリーツアー?なんですか?コレ……」
「ふふふ……実はさぁ~ミステリーツアーの懸賞に応募したら見事に当選しちゃったんだよ~。で、今日の午後から一週間、旅行に行ってくるから宜しく~」
「はぁ?今日から?随分、急な話しですねぇ。でも一週間も会社はどうするんですか?」
なんで平社員の私が会社の心配しなきゃなんないの?と露骨に嫌な顔をしながら聞くと、社長がヘラヘラ笑いながら得意げに話し出す。
「ホントは落選してたんだけど、当選した人がキャンセルしたから繰り上げ当選なになってさぁ~。だから今日出発。
会社の方は"魅惑のおっぱい"も完成したことだし、何もすることないから休みにしようと思って~。山ちゃん達もバイトが忙しいって言ってたからね。丁度いいかな~って」
何が丁度いいだ?コイツ、マジで仕事する気ないな!
「そういう訳だから、今から旅行の準備しなきゃいけないんだよ。だから鈴音ちゃんはもう帰っていいよ」
はぁ?たった今、出社して来たばっかじゃない。こんなことなら、はなっから休みにすりゃいいだろー!!
……この前デブって言ったから嫌がらせか?