そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

帰る道すがら、さっきのホームでの出来事を思い浮かべ色々考えていみた。でも、誰かに恨まれるような心当たりは全くない。


東京に出て来てまだ間もない私が命を狙われるなんて……ありえないよね?


偶然後ろを歩いていた人と体が触れて押されたような気がしただけかもしれないし……


私の考え過ぎかもしれない。うん!そーだよ!きっと私の勘違いだ!


そう結論を出したらなんだか妙にスッキリして元気一杯、喫茶店の扉を開ける。


「ただいま~」

「あれ?鈴音っち……仕事は?」


さっき出て行った私がもう帰って来たんだもんね。ユミちゃんが驚くのも無理はない。カウンターに座り事情を説明する。


「へぇ~一週間休み?ラッキーじゃん!せっかくだから、どっか遊びに行けば?あ、でも……その前に鈴音っちに行ってほしいとこがあるんだけど……」

「私に行ってほしいとこって、どこですか?」

「びよーいん」

「えぇ!私、どっか悪いんですかー?」

「何言ってんの?病院じゃなくて、美容院!前から気になってたんだよね~そのこけしみたいな髪型」


……こけし?


「今時、そんな髪型してる人居ないよ~」


そうなんだ……島には美容院なんて無かったから、髪はばあちゃんに切ってもらってたんだよね……。確かに、東京に出て来て私と同じ髪型の人を見たことないなぁ……


早々、ユミちゃん行きつけの美容院を予約してもらった。けど、今日はお客さんが多いから4時頃に来てと言われ、それまで部屋で時間を潰し、4時前に喫茶店を出た。


喫茶店から徒歩15分で美容院に到着。


美容院初体験だ……なんか緊張してきた……


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