そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

おっかなびっくり美容院のガラス戸を押し中に入ると、なんか異様な風景……


私に気付いた男性の美容師さんが「いらっしゃいませ~」と言いながら笑顔で近づいて来る。


「ユミちゃんが紹介して下さった小林様ですね?ご希望のヘアーはユミちゃんから聞いております。こちらのシャンプー台にどーぞ!」

「シャンプー?ここでお風呂に入るんですか?」


真剣にそう聞く私に、なぜか美容師さんは「ヤダァ~面白い方ですねぇ~」と大ウケ。


そして「こちらにお座り下さい」と私の質問を完全スルー。


彼に促された椅子に座るとその椅子がゆっくり倒れ仰向けになったままシャンプーされた。


なるほど!こうやって洗うのか~スゲ~!でも、こんな風にシャンプーされると気持ち良くて、思わず寝そうになるなぁ~。


「小林様、いかがですか?痒い所はありませんか?」


痒い所?へぇ~痒い所をかいてくれるの?サービス満点だ!


「あ、実は、さっきから足の親指と人差し指の間が痒くて……」

「……足?もぉ~小林様ったら、冗談お好きなんですね~」

「……?」


なんだかこの美容師さんと私の会話って、全くかみ合ってないような気がする……


そうこうしてると頭にタオルを巻き付けられデッカイ鏡の前に座らされた。そして、徐にハサミを手にした美容師さんがザクザクと私の髪を切っていく。


うわ~目にも止まらぬ速さ……老眼でモタモタしてたばあちゃんとえらい違いだ……さすがプロだな。


なんて感心してると、次に変な臭いがする黄色い泥みたいなモノを髪に塗りたくられ一気にテンションが下がる。


何コレ?ベタベタして気持ち悪りぃ~……


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