そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

とうとう足音は私の直ぐ後ろまで近づいて来た。気持ちばかりが焦り足が竦んで動けない。


震える体を抱き締めもうダメだと諦めた時、若いカップルが目の前の四つ角を曲がり私が居る方向に歩いて来たんだ。


すると固まった体がフワリと楽になり自然に足が動き出す。そこからはもう無我夢中で走った。


気のせいなんかじゃない。私は誰かに狙われてる……


息を切らしながら喫茶店に駆け込むと、相変わらず客の居ない店内でスマホをいじっているユミちゃんを見つけ、ホッとした私は彼女に抱き付き号泣。


「鈴音っち、どうしたの?」

「ユミちゃんさん、私、狙われてるんです!昨日から変なことばかり起こって……」


しゃくり上げながら理由を話すと、ユミちゃんは心配いらないからと私の体をギュッと抱き締めてくれた。


「鈴音っちが住んでた島とは違ってここは変な奴が多いからね……。でも大丈夫だよ。陸君も居るし、そういうことに詳しい宅磨先生も居るから……」

「うん……」

「それより、その髪型いいじゃん!めっちゃ可愛いよ」


私の頭を撫で、そう言ってくれたユミちゃんの言葉で少し気持ちが落ち着いた気がした。


「有難う……ユミちゃんさん」


で、取り合えずイケメン弁護士に相談しようということになり早々電話すると、驚いたイケメン弁護士が青い顔をしてすっ飛んで来た。


「命を狙われてるって言うのは本当ですか?」

「はい……なんとなく……」


私の説明を聞いたイケメン弁護士が腕組をして何やら考え込んでる。


「どうしました?」

「あ、いや……それだれじゃ、弱いな……」

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