そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「あ、陸君、おかえり~!」
ユミちゃんが明るく声を掛けるが、陸さんは入口の扉を開けたまま後ろを気にしている。
「なぁ、今の宅磨じゃなかったのか?」
「あ、うん。そーだよ。鈴音っちがストーカーに襲われかけたから宅磨先生に相談に乗ってもらってたんだ~」
「な、ストーカー?襲われかけたって、どういう……おわっ!!お前、どうした?その頭……」
驚きの声を上げた陸さんが、しかめっ面をして私の顔をガン見。
「変……ですか?」
「あ、イヤ……別に変じゃ……ない」
「じゃあ、似合ってますか?」
「う、うん……まぁ、そこそこ……」
私達の会話を聞いてたユミちゃんが何か言いたげにクスクス笑ってる。でも、まさか陸さんが気付いてくれるとは思わなかったな。
些細なことだけど、凄く嬉しい。
「じゃあ、あたしは出勤の用意するから後は宜しくね~」
ユミちゃんが店を出て行くと私の隣に座った陸さんが真顔で聞いてきた。
「なぁ、ストーカーってなんだよ?」
手短に駅での出来事とさっきのことを話す。けど、イケメン弁護士が心配いらないって言ったから大丈夫だろうと言うと、陸さんは「ホントに大丈夫なのか?」と納得いかない顔をする。
「多分……私の思い過ごしですよ」
「ならいいけど……心配なことがあったら言えよ」
彼がヤケに真剣な目をして言うから、つい「陸さんが守ってくれるんですか?」なんて、茶化すように聞いてしまった。
どうせ『誰がお前なんか……』って言われるに決まってる。そう思ったのに……
「あぁ、俺がお前のこと守ってやるよ」