そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
ドキッ!!
予想外の言葉に心臓が跳ねた。
陸さんを少なからず意識するようになってたのは自覚してたけど、こんなに動揺するなんて……けど、彼の言葉は素直に嬉しかった。
それと、私が髪型変えたの真っ先に気付いてくれたことも……
「有難うございます」
「別に、知り合いがそんなことになってたら誰でも助けるだろ?」
あ……
私だからじゃないんだ……
誰かが困っていれば助ける。それは彼にとって当然なことで特別なことじゃないんだ。
そうだよね。私ったら、何勘違いしてるんだろう……バカみたい。
「あ、それと"魅惑のおっぱい"が完成したぞ。明日、完成品を会社に持ってってやるよ」
「明日ですか?明日は会社には誰も居ませんよ。一週間お休みになりましたから……」
「一週間休み?なんだ?なんかあったのか?」
社長がミステリーツアーに行ったからだと言うと、陸さんは「そういうことかー」と呆れ顔。
「何回も社長の携帯に電話したけど全然繋がらなかったのはそのせいか……。全く、お気楽な社長だな」
「……ですね」
二人顔を見合わせ苦笑い。少しの間、社長の悪口で盛り上がってしまった。
陸さんとこんなに意見が合ったのは初めてかもしれない。
楽しい一時。けど、私はあることを思い出し、それを彼に聞くべきか迷っていた。
どうしよう……でも今なら機嫌良さそうだし、いいかな?
「あの~陸さんにお聞きしたいことがあるんですが……」
「……宅磨のことか?ならノーコメントだぞ」
「いえ、弁護士先生のことじゃなくて……私のお兄ちゃんのことです。お兄ちゃんと陸さんは友達だったんですよね?どんな人だったか教えてくれませんか?」
陸さんの顔から笑顔消えた。