そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
あれ?失礼男の顔がヒクついてる。もしかして、軽くキレかけてる?
そう思った時、彼がいきなり私の手からメモを奪い取り、ポストの横にある数字のボタンを目にも止まらぬ速さで連打した。すると……
「ロック、カイジョサレマシタ……」
どこからともなくたどたどしい日本語が聞こえてきた。
「えっ?えっ?誰?」
周りを見渡しても誰も居ない。
「ねぇ、ねぇ、今のあなたが喋ったの?」
「アホか?俺のワケないだろ!!この機械が喋ったんだ!!」
「き、機械が……?東京では機械が喋るんですかぁー?」
あまりの驚きに大声を上げフラつくと、突然頭上の外灯がなんの前ぶれもなく点いたから思わず尻もちをつき大絶叫。
「ぎゃ~っ!!!!電気が……電気が……勝手に~」
「センサーが反応して点いただけだろ?」
「セ、センサー?」
東京は物騒なとこだと聞いてはいたが、一般の住宅にまでそんな武器が装備されてるとは……
「も、もしかして……私、ロックオンされました?」
「それを言うなら、センサーじゃなくレーダーだろ?それに、誰がなんの為にお前をロックオンする必要がある?
あぁ、なるほど……これがお前の手か?そうやって何も知らないフリして男をたらし込んでんのか?」
「そんな……ホントに何もかも初めてで……一生のお願いですから部屋までついて来て下さーい」
玄関でさえこんなに凄いんだもん。この先どんな恐怖に遭遇するか……考えるだけで恐ろしい。一人じゃ無理!無理!
「ほーっ、部屋までねぇ……そういう作戦か……まぁ、いいだろう。部屋までついてってやる」
ニヤリと怪しく笑う失礼男に「んっ?」と思ったが、そんなこと気にしてる場合じゃない。今は部屋辿り着くことが最優先だ。