そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「なっ、そんなの販売してみないと分からない……モゴモゴ……」


怒鳴る私の口を押さえた陸さんが、突然女部長に深々と頭を下げた。


「"魅惑のおっぱい"は必ず売れます。考え直して下さい」

「それはどうかしら?YAMATOの社長が言ってたわよ。自分は商品化に反対したが、小林が勝手に話を進めてしまったって。困るのよねぇ~そういう強引なやり方」


えっ?そうだったの?


「確かに、少し強引なところはあったかもしれません。でも、この商品は間違いなく売れると確信したんです」


陸さん……


「ふ~ん……結構な自信だこと」


すっかりご機嫌斜めになってしまった女部長が鋭い眼つきで陸さんを睨んでる。


「発売中止にする前に、どうかチャンスを下さい。もう既に発売に向け工場のラインは動いているんです」

「どのくらい?」

「1000ケースは出来ていると思います」

「そう……1000ケースねぇ……」


暫くの間、腕組をして何か考えていた女部長が顔を上げ、陸さんと二人で話しをしたいから私に部屋を出て行くように言ったんだ。


どうしたものかと陸さんの顔を見上げると、彼がコクリと頷いたので仕方なく部屋を出る。


何を話してるんだろう……


ソワソワしながら廊下で待つこと数分。思ったより早く陸さんが出て来た。


「帰るぞ」

「えっ?もういいんですか?それで、どうなったんですか?」


歩き出した陸さんの上着を引っ張り結果を訊ねるが、硬い表情の彼はなかなか口を開こうとしない。


「もぉ~!!教えて下さいよー!!」


痺れを切らして怒鳴る私の声に反応し、やっと彼が私の方を見た。


「条件を二つ出されたよ……」

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