そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「条件を二つ?ですか?」

「あぁ、どちらか一つクリア出来たら発売してやるって言ってた」


女部長が提示した条件の一つは、製造済みの1000ケースの販売予約を10日以内に取ってくるというものだった。けど、大和商事が既に取引のある顧客は除外で、新規での予約に限るというなんとも意地悪な条件。


「そうなると、大和商事の顧客になってる大手スーパーやコンビニは無理だ。新規で1000ケースとなると……難しいなぁ」

「そうなんですか?」


イマイチよく分かんない。


「時間があればなんとかなるかもしれないが、10日じゃそんなに捌けないかもな」

「えぇ~そーなの?じゃあ、もう一つの条件は?そっちはどうなんですか?」

「それは……ちょっと考えさせてくれ……」


んっ?どういうこと?


二つ目の条件がなんなのか、私が何度聞いても陸さんは教えてくれなかった。


「とにかく、やれるだけやってみるしかない。お前も予約取れよ」

「えっ?私も?」

「当然だろ?俺は心当たりを回ってみる。お前も知り合いに売り付けろ」


そんなめちゃくちゃな……私にそんなことお願い出来る知り合いなんて居ないよー。


大和商事のビルを出ると陸さんは私を置き去りにして車で行ってしまった。


けど、"魅惑のおっぱい"の商品化が実現したのは陸さんの努力のお陰だったなんて、全然知らなかった。ビックワールドの為に頑張ってくれたんだね。


やっぱり陸さんは優しい人だ。でも、陸さんの優しさに甘えばかりはいられない。


とにかく動く人を増やすことが一番だと思った私は、白ポチャと黒ヒョロに電話をし事情を説明する。驚いた二人は直ぐにビックワールドに来ると言ってくれたので、私も会社に向かうことにした。


そして一応、ダメ元で社長にも電話したが、やっぱり全く繋がらない。


こんな非常事態に……アイツ、帰って来たら絶対クビだ!!

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