そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「利益が上がらないのを覚悟で商品入れるんだから、代わりに一つお願いをきいてもらおうか……」


よし!買ってくれるなら、お願いの一つや二つドンと来いだ!!


「はいっ!喜んで!」



――――な~んて、元気一杯返事したのがそもそも間違いだったんだなぁ~。なぜなら、それはとんでもないお願いだったから……


私はアダルトショップの1日店員を命じられたのだ。


なんでも、女店長はこれからSMプレイの予約が入っていて出掛けなきゃいけないのに、アルバイトの人が急に休むと言ってきたそうで、店番をする人が居なくて困ってたらしい。


「もう予約の時間だから、後は宜しくね」

「そんな……宜しくと言われても、私、こちらの世界は素人で……」

「大丈夫だって、ここは常連客が多いから商品説明なんてしなくてもいいからさぁ~。じゃあね~」


じゃあね~って……そんなお気楽に言わないでほしい。


私は縋るような目で白ポチヤとヒョロ黒を見つめる。けど、二人はヘラヘラ笑いながら「僕達は他の店をまわって来るから~」と逃げるように店を出て行ってしまった。


はぁ~?なんちゅー薄情なヤツらだ!!


一人ポツンと店に取り残された私は不安で挙動不審。ガラスケースの陰に隠れ誰も来ないことをひたすら祈る。


が、しかし……


「こんにちは~」


ゲッ!!もうお客さんが来た!


恐る恐る顔を上げると、人の良さそうなメガネの男性がモジモジしながら立っていた。


「あの~頼んであったモノ頂きに参りました」

「頼んであったモノって、なんですか?」


そう聞くと男性が私の足元にあった段ボール箱を指差し、恥ずかしそうに頬を赤く染める。


何が入っているのかとラベルを確認すると……


「んっ?……超スッキリ!ニコニコ浣腸36個入り?」

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