そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

浣腸を36個も大人買いするとは、そうとう頑固な便秘に悩まされているんだ……可哀想に……


と思ったが、なんでわざわざここで浣腸を買うのかが分からない。


「どうして薬局で買わないんですか?」


私がなんの気なしに素朴な疑問を投げ掛けたとたんガラスケースの上にお金を置いた男性が更に顔を真っ赤にし、浣腸の箱を抱き締め逃げるように店を出て行ってしまった。


んっ?私、なんか変なこと言ったかな?


真剣に考えてみたが全く分からない。そうこうしてると、またお客さんが入ってきた。今度は小柄でポッチャリした男性だ。


「縄、見せてくれます?」

「はぁ?縄?」

「いいのが入荷したって店長から連絡もらったんだけど……」


縄とか浣腸とか、アダルトショップって、なんでも屋みたいだなぁ~。なんて感心している間にお客さんはお目当てのモノを見つけたようで、縄を手に取りニヤニヤ笑ってる。


「ねぇ、ちょっと試してみていいかな?」

「縄を……試す?」

「うん、君、縛ってくれる?」


縛るって何を縛るんだろう?とキョロキョロしている私の目の前でお客さんが突然服を脱ぎ出した。


「な、何してるんですかー?」

「えっ?何って……縛ってもらおうと思って……。ほら、あのマネキンみたいに芸術的に縛ってね」


えぇ~!マジ~?今まで人を縛ったことなんてないのに……けど、断ったりしたら女王様にお仕置きされるかもだし……強面のおっちゃんみたいにムチでぶたれるのはイヤだ。


渋々縄を受け取りマネキンを見ながらお客さんの体に巻き付ける。初めはワケが分からず上手く出来なかったが、お客さんからアドバイスを受け、なんとなくコツがつかめてきた。


すると、なんだろう?このワクワクした気持ちは?めっちゃ楽しくて、夢中でお客さんを縛りつけていた。


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