そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「お客さん、どうですか?」

「いやぁ~いいよ~君、縄師の素質あるんじゃない?修行する気があるなら、縄師の先生紹介するけど……どう?」


才能があると褒められすっかり有頂天になってしまった私は調子に乗って更にグイグイ縄を締めあげる。


すると、歓喜の声を上げ悦んでいたお客さんが、次はムチでぶってくれと言い出した。一瞬「えっ?」っと思ったが、ここまできたらなんでもアリかな?と言われるままムチを振り上げる。


―――バシッ!!


おぉ……!!なんだ?この快感は……?


そう……私は知らず知らずの内に目覚めてしまていたんだ。ドSの世界に……。どのくらいドSワールドにどっぷりハマっていたんだろう……


ふと感じた背後からの視線。振り向くと、女店長がニヤニヤしながら立っていた。


彼女と目が合った瞬間、一瞬にしてこっちの世界に戻ってきた私は、自分がとんでもないことをしていたんだと気付き青ざめる。


けど、女店長は怒るどころかドSの私を大絶賛。そして、女王様をやらないかと言ってきた。


「さすがに、それはちょっと……」

「あらそう……残念ねぇ~でも気が変わったら、いつでもウエルカムだよ」


ギリギリの所で踏み止まった私。インチキ占い師をしてるってだけでも十分に後ろめたいのに、ドSの女王様になったりしたら……考えるだけで恐ろしい。


ばあちゃんに知れたら、間違いなくブッ殺される。


しかし、女店長はご機嫌で"魅惑のおっぱい"を仕入れてくれると言ってくれた。なんとか予約を取ることが出来て一安心。


その後、女店長に誘われ居酒屋で夕食をご馳走になり、ほろ酔い気分で駅に向かった。


< 119 / 280 >

この作品をシェア

pagetop