そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「あ、いえ……私は大丈夫です」
「そうですか。では少しお話しを聞かせて下さい」
私が事情聴取を受けている間に犯人の男が乗せられたパトカーが走り出し、結局、あの言葉の意味を聞くことは出来なかった。
調書の作成が有る程度終わるとイケメン弁護士が私の体を気遣ってくれて、後は自分が説明するから喫茶店に帰っていいと言ってくれたので、お言葉に甘え喫茶店に帰ろうとしていたら……
「鈴音!!」
騒ぎを聞き付け集まって来ていたやじ馬の中から私の名を呼ぶ声が聞こえた。
この声は……「陸さん?」
「女性が襲われたって……お前のことだったのか?」
持っていた傘を放り投げ、真っ青な顔をして駆け寄って来る。そして、なんの迷いもなく私の体を強く抱き締めたんだ……
「怪我は?」
「あ……うん、平気です」
「そうか……良かった」
彼の温かい胸と優しい声に張り詰めていた気持ちが一気に緩み涙腺が崩壊したみたいに涙が溢れ出す。
「帰ろう……立てるか?」
コクリと頷き彼にに支えられながら歩き出すとイケメン弁護士が近づいて来て「陸、彼女を頼む」そう言って陸さんの肩をポンと叩いた。
それはまるで、自分の恋人を陸さんに託しているよう……
どうしよう……やっぱりイケメン弁護士は私を彼女だと思ってるんだ。
まてよ。私がそう感じたってことは、陸さんもそう思ったかもしれない。ダメだ!このままじゃあ陸さんに誤解されちゃう。
けど、どうやって自分の気持ちを伝えていいか分からず悶々としながら歩き出す。
喫茶店に帰ると陸さんは私の手を引き二階に直行。お風呂場のドアを開けた。
「雨に濡れたから寒いだろ?風呂入れよ」