そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
その時、目の前のエレベーターの扉が静かに開き、ドキドキしながら乗り込もうとしたとした私の背中を失礼男が力一杯押したものだから、完全無防備だった私はそのままエレベーターの中に突っ込み壁に顔面を強打。
「うぎゃ!!何するんですかー!!」
「ふざけたこと言ってないで早く乗れ!」
「つぅ……」
それより、なんだ?このゾワゾワとする気持ち悪い感覚は……
「あの……吐きそうなんですけど……」
「吐くな!!飲み込め」
「うぐっ……」
―――チーン……
エレベーターの扉が開くと、またすぐドアが現れた。
「ほーっ……エレベーターから部屋へ直通か……」
そう呟いた失礼男が私が持ってた茶封筒をひったくり中から一枚のカードを取り出したんだ。
「なんですか?ソレ」
「部屋のカードキーだ」
「カードがキー?」
「そうだ」
「キーがカード?」
「そうだと言ってるだろ?同じ質問を2回もするな!」
分かんないから聞いてるだけじゃん!ちょっと物知りだからって偉そうに……ムカつくなぁー。でも、紆余曲折あったが、なんとか部屋に辿り着いた。とホッとしたのもつかの間……
玄関広っつ!ここだけで十分、暮らせそう。
「床は全て大理石だな。床暖房になってるのか」
「床が暖房?」
ポカーンとしている私を置き去りにして失礼男が辺りを見渡しながらズンズン部屋の中に入って行く。
「あわわ……待って下さーい!」
慌てて失礼男を追いかけ彼の後ろから中を覗くと、島の公民館より遥かに広い板張りの空間が広がっていた。
「リビングはちょっとしたパーティーが出来そうだな」
「パ、パーティー?あぁ!それもトレンディードラマで観まし……」
ボコッ……!!