そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「おのれ~源氏め!我らの姫を亡きモノにしようと行動を起こしおったなぁ~」
なんだか言葉使いまで武士みたいになってるし……あ、でも……
「そう言えば、犯人の男が警察に捕まった時、妙なこと言ってたんですよ。"まだ終わってないからな……"って……」
「なるほど……その台詞でハッキリした。やはり源氏は動き出した。我々もボヤボヤしてはいられないぞ。戦(いくさ)の用意をしなければ……」
はぁ?この平成の時代に……戦?
「直ぐにメンバーに連絡して厳戒態勢だ!」
すっかり戦モードになってしまったおっちゃん達と少し距離を置き他人のフリをしていると、イカれたおっちゃんがこっちを向き眉を下げる。
「しかし、姫が心配だな……また襲われる可能性がある」
「えっ?マジ?」
なんでそーなる?結局、私は巻き込まれる運命なの……?
「それなら大丈夫だ。いい方法がある」
得意げにそう言ったのは、強面のおっちゃん。
「いいか?姫にボディーガードを付ければ、我らが源氏の動きを察知したことがバレてまう。何も知らないフリをして、向こうの動きを探るのが今後の為には一番いい。
そこでだ。自分が独自に開発したアプリを使うことにする」
ニヤリと笑った強面のおっちゃんが、ポケットからスマホを取り出し、おもむろに操作を始めた。
「このアプリは、自分の組織を警察から守る為に秘密裏に開発を依頼したモノで、つい最近完成したばかり。
名付けて……"どこにでも助けに行っちゃうよアプリ"だ」
声高らかにそう叫んだが、店内は水を打ったようにシーンと静まり返る。
「おっちゃん……組織を警察から守る為って……警察のおっちゃんの前で言っちゃって良かったの?」
「……あ゛」