そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「隠してること?」
彼のハンドルを持つ手がピクリと反応した。
「悪いと思ったんですけど……昨日、弁護士先生と話してるの聞いちゃったんです。それで、私が可哀そうとか陸さんと何かあったら大変なことになるとか言ってたから……」
「……そうか、聞いてたのか……」
真っすぐ前を見つめ運転してる陸さんの顔にもう笑顔はない。
「教えてくれますか?」
彼の顔を覗き込み聞いてみる。すると一瞬、戸惑った表情を見せた陸さんだったが、赤信号で車が完全に止まると大きく息を吐き話し出した。
「お前がインチキな占いさせられてるのが可哀そうだと思ったんだよ」
そんなことだったの?なんか納得出来ないな……でも、私が本当に聞きたかったのは次の質問。
「じゃあ、どうして私と陸さんの間に何かあったらいけないんですか?」
「それは……」
彼がそう言い掛けた時、信号が青に変わり車が再び走り出す。私は早くその理由が知りたくて急かすように聞いていた。
「それは……なんですか?」
けど、陸さんの口から出た言葉は更に私を混乱させるものだった。
「……そういう運命ってことだ」
「運命?どういうことですか?ハッキリ言って下さい!」
納得する答えが欲しくて、つい声を荒げ大声で叫んでいた。そのバカデカい声に彼もさすがに驚いたようで、反射的に視線をこちらに向ける。
ガッツリ目が合い。よし!これでやっと理由が聞けると身構えたんだけど……
「なぁ、さっきから気になってたんだけど、その猫はなんだ?」
「えっ?この娘はバーバラですよ。多摩雄のおっちゃんが飼ってる猫なんですが、私のことが気に入ったみたいで離れないから連れて来ました」