そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
―――素直にそう答えたのが失敗だった。
陸さんは強引に猫の話題にすり変えてしまい私が話しを戻そうとしても頑なにそれを拒んた。
なんだか上手く誤魔化されたような……?
でも、ここで引き下がるワケにはいかない。諦めてなるものかと食い下がる。
「ねぇ、陸さん、ちょっとだけヒント下さい」
「まだ言ってるのか?その話しはもう終わりだ!」
「勝手に終わらせないで下さい!私は全然納得してないんですからー」
「お前もクドいなぁ!ちょっと黙ってろよ」
陸さんが怖い顔をして私のこと睨んでる。けど、負けるもんか!!
「いーえ!黙りません!!」
私がそう叫んだ直後、車が路肩に急停車して陸さんが車から降りてしまった。何事かとポカンとしてたら、助手席のドアが開き、私は車外へと引きずり出されてしまった。
「ちょっ……何するんですかー?」
「降りろ!!俺はひつこい女は嫌いだ!!」
有無を言わさず私を車道に置き去りにすると凄い勢いで走り出す車。あっという間に視界から消えてしまった……
「えっ……もしかして、私……捨てられた?」
そんな……信じらんない。ここがどこかも分かんないのに、どうやって帰ればいいのよー!!
―――そして、更に不幸は続く。
「ゲッ!!バックがない!うそ~車に置いたまま?ってことは、財布も携帯もなし?ひぇ~ありえなーい!!」
タクシーどころか、電車にも乗れないじゃない。
呆然とする私の肩の上でバーバラが慰めようとしてくれてるのか、ミャ~と鳴き耳をペロペロ舐めている。
「バーバラ……これからどうしようねぇ……」
大きなため息を付き暫し途方に暮れる。が、こんなとこでボケ~と立ってても仕方ない。取り合えず今来た道をトボトボと歩き出した。