そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「痛いじゃないですかー!暴力反対!!」
「もういいだろ?いい加減、すっトボけるのは終わりにしろ。どれもこれも俺を部屋へ誘う為の芝居なんだろ?」
「へっ?あっ!わわっ!」
――――ドン!!
私をいきなり壁に押し付けた失礼男がニヤリと笑いまた耳に熱い吐息を吹きかけながら言う。
「そんな回りくどい事しなくてもハッキリ言えばいいんだよ」
「ハッキリって、何を?」
「……俺と……シたいって……」
まさか……シたいって……アレの事?
失礼男の妖艶な瞳に見つめられヘビに睨まれたカエルみたく直立不動のまま動けないでいると、更に私の体を強く壁に押し付け首すじをペロッと舐めたんだ……
ゾゾゾ~……
ヤバい……また鼻血出そう……
動揺して視線が泳ぐ私のことなどお構いなしって感じで、彼の冷たい指がソッと頬を撫で顎を持ち上げる。
「性の伝道師の極上のテクニックとやらで楽しませてくれよ」
そんなこと言われても……私、キスもしたこともないのに……でも、そっち方面の興味は大いにある。だって、東京に出て来た真の目的は、イケメン彼氏をゲットするということだったら……
今更だけど、改めて失礼男の顔を間近で見て気付いたんだ……
彼がイケメンだということに……
切れ長の吸い込まれそうな綺麗な瞳、鼻すじが通った高い鼻、サラサラのブラウンの髪……そして何よりポイントが高かったのは、スーツが良く似合ってるってこと。
都会の男=スーツだもんね。
性格にちょっと難アリだけど、うん、見た目は悪くない。それに、こんなに強引に迫ってくるんだもん。きっと私のことが好きなんだ……