そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

いつかばあちゃんが言ってた。女は想うより想われて一緒になる方が幸せになれるって……


よし!この際、贅沢は言ってられないな。この男に幸せにしてもらおう!


いよいよ21年生きてきて初めてのエッチ体験か……。でも大丈夫。イメトレは完璧だ。師匠の家のベットの下に隠してあったエロ本をコッソリ読みあさり、日々、妄想を膨らませてきた。


でも、いざ本番となるとやっばり緊張するワケで……生唾をゴクリと呑み込みドキドキしながら目を閉じた。


が……


「おい!今、何時だ?」

「へっ?」


失礼男の素っ頓狂な声に驚き慌てて腕時計を見る。


「え、ええっと……5時50分だけど……」

「5時50分?ヤベぇ~後10分しかない……」

「10分?」

「昨日も遅れて怒られたばっかだ。ったく……お前がトロトロしてるからこんな時間になっちまったじゃなか!ボケ!」


はぁ?……どうして私が怒られなきゃいけないの?迫ってきたのはそっちじゃない!せっかくその気になってやったのに、ボケとか言われてワケ分かんない!


「俺は帰る!」一言そう言うと、私を残し慌ただしく部屋を出て行く失礼男。


そしてシーンと静まり返った部屋で閉まったドアを呆然と見つめる私。


まさか……いい年して門限が6時とか?小学生かよ?てか、たとえ門限が6時だったとしても、こんな状態で帰るか?いや、普通は帰らないだろ?


エロ本に出てきた男達は皆、我慢出来ない~って襲いかかってたよ!とんだ見かけ倒しのおこちゃま男だ。


遥か遠い離島から期待を胸に一大決心をして出て来た純粋無垢な私を弄ぶなんて言語道断!!まさにヤろヤろ詐欺。


一気に気持ちが冷めた。あんなおこちゃま詐欺師野郎なんて相手にしてられるか!!彼氏は他の男にしよう。うん、そうしよう!!

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