そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「はぁ?なんで?ちょっと協力してもらうくらいいいじゃないですかー」
不満げにそう言うと、陸さんがチビちゃんを抱き立ち上がった。
「とにかく、あの人はダメだ。俺が必ず1000ケース売ってやるからお前は余計なことはすんな!いいな!」
フグみたいにほっぺを膨らませ納得いかないとアピールするが、陸さんは知らん顔してスルー。何事もなかったように保育園バックを肩に掛け店を出て行ってしまった。
「もぉ~陸さんたら、何カッコつけてんだろー?おっちゃんに少しでも買ってもらえたら楽になるのに……ねぇ、ユミちゃんさん」
「うん、あたしもそう思ったんだけど、なんか事情があるのかなぁ~?」
「あ~ぁ、陸さんの考えてることがサッパリ分かんない。あと三日で800ケースなんて、絶対無理ですよ!」
陸さんの態度に腹が立ち、すっかり投げやり状態。
「だよね~でもさぁ、1000ケース売らないとオッパイ発売してもらえないんでしょ?あたしに貯金とかあったら買ってあげるのになぁ~……」
ユミちゃんの言葉にハッとした。
そうだ……自分で買ってもいいんだよね。この前、イカれたおっちゃんに貰った100万円。今月分のローンを返済した残りが80万残ってる。
「ユミちゃんさん、ナイスアイデアです!!私、自分で買います!」
「えっ?マジ?そんなことして借金は大丈夫なの?」
「今はオッパイが最優先です。借金が払えなくなったら太一郎のおっちゃんに借りますよ」
「結局、太一郎さんに頼るんだ……」
「私個人が借りるんだから陸さんには関係ないでしょ?文句は言わせません!」
早速、カウンターの上にあった電卓を手繰り寄せ、80万で何ケース買えるか計算してみる。