そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「えっと~オッパイ1個の卸値が120円で1ケース24個入りだから、1ケース2880円……それを80万で割ると……おぉ!!277ケースだー!」
「鈴音っち、凄いじゃん!477ケースになったー!でも、まだ半分以上あるね~」
そうか……全財産はたいても、まだ全然足りないんだ。陸さんには悪いけど、やっぱりイカれたおっちゃんにお願いするしかないか……と考えていたら、突然ユミちゃんが大声で叫んだ。
「そうだ!あの美容院!」
「美容院?」
「そう!この前、鈴音っちに紹介した美容院だよ!今度、オープン5周年で記念品配るって言ってたんだけど何がいいかなぁ~って、まだ決まってないみたいだった。あたし、店長にオッパイ勧めてきてあげるよ」
そういえば、オープン記念で割引してくれるとか言ってた気がする。
「是非、お願いします!」
慌てて店を飛び出して行くユミちゃんの背中を手わ合わせドキドキしながら彼女の帰りを待つ。
―――そして、30分後……
ユミちゃんが意気揚々と帰って来て、私に向かってピースサインをした。
「鈴音っち、喜んで~30ケース売りつけてきたよー」
「おぉー!!ユミちゃんスゲ~!」
「でもさぁ、その代わり、ずーっとお客さんで居てって言われた~」
「そんなの条件なら全然OKですよー!10年でも20年でも、ばあちゃんになっても通い続けますから」
よし!これで507ケース。なんとか半分いった。けど、私にはこれが限界だ……あとは陸さんが埼玉のスーパーでどれだけ予約が貰えるかだな……
そう期待していたが、夕方、帰って来た陸さんの表情は暗く沈んでいた。
「悪い……埼玉のスーパーはダメだったよ……」