そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

陸さんの余りの落ち込み様になんて声を掛けていいのか分からない。


「お前とユミちゃんが大量の予約取ったっていうのに、俺は何してんだろうな……これで大阪がダメだったらアウトだ……」

「あ、イヤ……それは……」


自分で買ったなんて言ったら陸さんに怒られそうで、とても言えない……


でも、朝はあんなに自信満々だったのに、埼玉のスーパーに断られたことがよっぽどショックだったんだな。それに、私とユミちゃんが大量の予約を取っていたことも彼の自信喪失の原因の一つだったり?


「大丈夫ですよ!あと半分です。私は陸さんを信じてますから!」


陸さんが力無い笑顔で頷くと、喫茶店の扉が開きイカれたおっちゃんが入ってきた。


「予約の時間より少し早いがいいかね?」


そうだった。今日は占いの予約が入ってたんだ。すっかり忘れてた。


「あ、はい。どーぞ」


席を立ち占い部屋に行こうとすると、イカれたおっちゃんがチラッと陸さんを横目で見て何か言いたげな顔をした。


けど、おっちゃんが何か言う前に陸さんは無言で厨房に行ってしまったんだ。


そう言えばこの二人、一緒に居てもあんま喋らないよね。仲悪いのかな?


不思議に思いながら占い部屋へ向かい十二単のコスプレをして水晶玉の前に座る。


「で、今日は何を占うんですか?」


すると、いつになく真剣な表情をしたイカれたおっちゃんが小声で言う。


「静か過ぎるんだよ」

「何が?」

「実は、あれから源氏の動きが全く掴めなくてね。アイツらが何を企んでいるのかが全く分からない」


オイオイ、まだそんなこと言ってんのか?


「そこでだ!今こそ姫の力を発揮してもらって、源氏の大将の正体を暴いてほしい」


もぉ~勘弁してよー!私にそんなの暴けるワケないっしょ!!


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