そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

しかしその時、私の頭にふと浮かんだのは、陸さんを苦しめている悪の根源、大和商事の女部長の顔だった。


あの人さえ居なければ、陸さんがあんなに苦労することないのに……それに彼女は、陸さんと関係があったかもしれない人。


私の心は嫉妬でメラメラと燃え上がり、冷静さを失っていく……


「―――源氏の大将が分かりました」

「な、何?本当かね?」

「はい、大将は女。大和商事の社員の中に居ます」


さすがに名指しすることは出来なかったが、なんとなく陸さんに対する嫌がらせの仕返しが出来たような気がして気分がいい。


「大和商事だと?それは間違いないのかね?」


イカれたおっちゃんが呆然と私を見つめている。


「ええ、髪の長い色っぽい女です」

「なるほど……女だったとは……それは思いつかなかった。しかし、髪の長い色っぽい女というだけではなぁ~……
大和商事には何千人もの社員が居るからねぇ~」


しかめっ面で考え込んでるおっちゃんに、私は「部長クラスですよ」そう言って得意げにニヤリと笑う。


「部長?おぉ!そうか!それなら絞り込める。直ぐに同士に連絡して調べてみよう!」


喜び勇んで帰って行くおっちゃんを見送りながら、冷静さを取り戻した私はちょっぴり不安になる。


調子に乗ってヒントを与え過ぎちゃったかな?


いやいや、そんなことはない!大好きな陸さんを苦しめてる女なんだもん。情けは無用!!源氏の大将だと勘違いされて、ちょっとは痛い目に遭えばいいんだ!


こうして私は、インチキ占い師から極悪インチキ占い師へと変貌を遂げたのだった……


< 153 / 280 >

この作品をシェア

pagetop