そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

でも、いつまでも幸せに浸ってニヤついてる場合じゃない。今日と明日は私が一人でチビちゃんを見なきゃいけないんだ。


スヤスヤ眠るチビちゃんの横で気合いを入れ保育園バックの中身を確認していると……


ノックの音が聞こえバッチリメイクのユミちゃんがスーパーの袋を下げて部屋に入ってきた。


「これ、チビちゃんの離乳食だよ。鈴音っちは離乳食作ったことないから取り合えず市販の買ってきた。お湯を注ぐだけでいいから簡単だよ」

「えっ……そんなの食べさせて大丈夫なんですか?」

「まぁね、いつもは手作りの食べさせてるんだけど、これも結構いいみたいだし、食べさせてるお母さんも多いから平気だよ」

「そうですか……」


袋を受け取りお礼を言うと、ユミちゃんはニッコリ笑って大きなキャリーバックを引きいそいそと出掛けて行った。


誰も居なくなり、チビちゃんと二人っきりになるとなんだか不安になる。


もぉ、ダメじゃん!陸さんだって頑張ってるんだから私も頑張らないと!


気持ちを切り替え目を覚ましたチビちゃんを抱き一階に下りてご飯の支度。ユミちゃんが買ってきてくれた離乳食を作って食べさせてみたが、気に入らないのかあまり食べてくれない。


やっぱり手作りがいいのかなぁ~


オムツの交換や着替えにモタついていたらもう9時。保育園に預けに行く時間だ。慌てて店を飛び出し保育園に向かう。


保育園は歩いて10分程の距離。緊張しながら園庭を抜け玄関を覗くとエプロン姿の保育士さんが待っていた。


「おはようございますー!小林さんから連絡もらってますよ。鈴音さんですね?」

「あ、はい。小林鈴音、申年生まれの21歳です」


そう挨拶した瞬間、なぜか保育士さんの顔が引きつった。


< 156 / 280 >

この作品をシェア

pagetop