そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
「……鈴音さんも小林?もしかして、小林さんと結婚されたとか?」
眼光鋭く私をガン見する保育士さんに、ただならぬ殺気を感じ思わずたじろぐ。
「結婚?いえいえ、私は生まれた時から小林です」
慌てて否定すると、保育士さんはホッとした顔をして笑い出した。
「そーなんですか~小林さんの身内の方なんですね!安心しました~」
んんっ?勝手に身内にされちゃった……でも、なんで安心するの?
「小林さんって、子煩悩でイケメンでしょ?独身だと聞いてましたから、若い保育士の間ではアイドル的存在なんですよ」
「……アイドル……ですか?」
なんてこった!こんなとこにも陸さんファンが居たとは……やっぱ、陸さんモテるんだ。
彼女になれたからって油断してたら大変なことになるかも。チビちゃんのことで相談がありますなんて保育士さんに誘われたら彼だって断れないだろうし……
なんとか陸さんを諦めさせるいい方法はないものかと思案していると……
あっ!そうだ!
「保育士さんに、とっても残念なお知らせがあります」
「はぁ……なんでしょう?」
「実は、陸さん、最近目覚めたんですよ。男に……」
「え゛っ?男ですか?」
「はい、陸さんホモになっちゃったんです。もう男しか愛せないって言ってました。ですから彼のことは諦めて下さい。では、チビちゃんのこと宜しくお願いします」
顔を引きつらせプルプル震えてる保育士さんにペコリと頭を下げ玄関のドアを開けた私の背後で保育士さんの悲鳴のような叫び声が聞こえた。
「先生達ー!全員集合!緊急の報告がありますぅー!」
よしよし、作戦成功!これで恋敵が減るわ~うへへへ……