そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「あ、もうこんな時間かぁ~」


離乳食作りに夢中になっていたせいで、チビちゃんのお迎えの時間が迫っていたことに気付かなかった。


さっき行ったばっかなのに~なんて思いながら保育園に行くと、なんだかどんよりした表情の保育士さんがチビちゃんを抱いて玄関に出て来た。


「……お迎え御苦労様です」


ギョッ!!目が死んでる……全く生気が感じられない。


もしかして、私が陸さんをホモだと言ったことがショックだったのかな?


「あの~元気ないようですが、大丈夫ですか?」

「あぁ……今朝、鈴音さんに衝撃の事実を聞いてから、ずーっと小林さんが男と絡んでる場面を想像してテンションだだ下がりでした……

で、つかぬことをお聞きしますが、小林さんは彼氏とか……居るんですか?」

「え、えぇ……イケメンの弁護士の彼氏が……」


勝手にイケメン弁護士も巻き込んでしまった。


「弁護士?それもイケメン?ひぇ~また想像してしまうー!小林さんとイケメン弁護士があんなことやこんなことを~」


そう叫びながら頭を掻きむしる保育士さんに恐怖を感じた私はチビちゃんを抱き玄関を飛び出す。


すると完全に壊れてしまった保育士さんがまだ何か叫んでる声が聞こえ足を止めた。


「園長~私、保育士辞めて出家しますぅー!!」


えっ?マジ?出家って、尼さんになるってこと……?私の嘘が保育士さんの人生変えちゃった?


ホモが嘘だとバレたらヤバいことになりそーだ……


焦った私は逃げるように保育園を後にし、喫茶店に帰るとすぐさま陸さんにラインした。


〈陸さん、ホモになって下さい〉


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