そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

湧き上がってくる数々の疑問。イケメン弁護士に対する不信感が大きくなっていく……


あの人は、私をどうしたいの?


写真を睨みつけるように見つめ困惑していると―――


―――ブルル……ブルル……


イケメン弁護士の携帯がガラステーブルの上で震え出す。


まだ戻って来る気配のないスマホの主。このまま切れるまで放置しようと思って無視してたけど、その震えはなかなか止まらない。


もしかして仕事の電話?急ぎの用だったらマズいよね……


仕方なくスマホのディスプレイを覗いた私は二度目の衝撃を受け、その場に座り込んでしまった。


だって、表示されていた名前は……


「菜月……?あの菜月ちゃん?」


ユミちゃんと出会うまで、私の唯一の同い年の女友達だった菜月ちゃん。たった一度会っただけだったけど、私にとっては大切な親友だった。その菜月ちゃんからイケメン弁護士に電話が……


もう間違いない。あの夏に出会った男の子のどちらかがイケメン弁護士だ。


疑惑が確信に変わった時、チビちゃんが急にグスり出した。手に持っていたフォトフレームを元の場所に戻しチビちゃんを抱き上げる。


その直後、リビングのドアが開いてイケメン弁護士が入ってきた。


私は何も知らないフリをして「今、電話ありましたよ」と彼に声を掛け、チビちゃんをあやしながらスマホの履歴を確認してるイケメン弁護士を横目で窺う。


彼は電話は掛けずメールをしているようだった。


イケメン弁護士が何を考えてるか分からない今は、菜月ちゃんのことも、あの写真のこともまだ聞かないでおこう……


こっそり探りを入れてイケメン弁護士が何を企んでるか暴いてやる。


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