そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
それからチビちゃんの体をタオルで拭き、ミルクを飲ませる。
大活躍だったバーバラには、イケメン弁護士がご褒美だとブリの切り身をご馳走してくれた。
「バーバラって猫だったんですね。多摩雄のおっちゃんが満月の日に帰って来たって凄く喜んでました。でも、なんで満月の日までに帰って来るって分かったんですか?」
それは、私がイケメン弁護士に連れられ初めて喫茶店に行った時、インチキ占い師になるきっかけになった嘘の予言……
「あぁ、それは簡単な統計をとったんですよ。バーバラの今までの失踪状況を多摩雄さんに聞き、いつ居なくなって、いつ戻って来たか過去にさかのぼって調べたら、全て満月の日までに帰って来ていたんです。
だから今回もそうだと思って鈴音さんにそう言ってもらったんです」
「私をインチキ占い師にする為に……?」
「彼らの信頼を得る為にです。どうしても鈴音さんに琴音さんの後を継いで占い師になってもらいたかった……」
「なぜですか?どうしてそこまでして私にお母さんの後を継がせたかったんですか?」
「…………」
困った顔をして私から視線を逸らしたイケメン弁護士が、小さく「あっ……」と声を上げた。
「どうしました?」
「いや……チビの顔、赤くないですか?」
「えっ?」
振り向くとソファーの上に寝かせていたチビちゃんの頬がリンゴみたいに真っ赤になっていた。
「体も熱い。熱があるな……」
「熱?マジですか……?」
すっかり気が動転してしまい焦りまくる私の横で、落ち着いて出掛ける用意をするイケメン弁護士。
「とにかく病院に行きましょう。近くに小児科の病院がありますから……」