そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

でも、ユウキならバレてもどーってことないか……


「まぁね……陸さんの力になりたくてさ。けど、もうダメだね。1000個売るにはもう時間がないし、陸さんを女部長の部下にするつもりもない。オッパイの商品化は諦めるよ」


そう言ってトボトボ歩き出した私を、またユウキが引き止める。


「諦めるのは早いぞ。まだ手はある」

「えっ?それ、ホント?」

「あぁ、同郷の可愛い後輩の鈴音が困ってるんだもんな。力になるよ」


一瞬、自分の耳を疑った……


思いもよらぬユウキの優しい言葉に驚き目を見開く。


コイツ……意外といいヤツじゃん!大人になってまともな人間になったのか?……仕方ない。陸さんを助けてくれるんだったら、過去のことは水に流してやろう。


―――何気に上から目線。


「で、その手とやらは?どうすればいいの?」

「うん、ここじゃあ……ちょっと……」


まだ仕事があるから今夜7時に場所を変え話そうと言ったユウキが手帳に何か書き、そのページを破って私に手渡してきた。


「そこのホテルの一階のラウンジで待っててくれ。詳しいことはその時に……」

「うん、分かった」


なんだか妙な展開になっちゃったけど、一筋の光が見えてきた。


速足でエレベーターに向かうユウキに手を振り、私もひとまず帰ろうと歩き出したところで背中のチビちゃんがグズり出す。


あ~ミルクの時間か……仕方ない。ここで飲ませるか……


階段に座り、おんぶヒモを解いてチビちゃんを抱えながら携帯用の粉ミルクを哺乳瓶に入れお湯を注ぐ。


美味しそうにミルクをグビグビ飲んでるチビちゃんを見つめホッと一息。すると誰かが近づいてくる気配を感じ顔を上げると―――

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