そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

一応、警備員のおっちゃんには「分かった」って答えたけど、今の話しはおっちゃんの想像だもんな~


なんて思いながら大和商事のビルを出るとスマホが鳴り出した。


あっ!ユミちゃんだ!


『ちょっとー!鈴音っち!今、京都から帰って来たんたけど、店が黒コゲじゃない!どうなってんの?』


ユミちゃんにボヤのことを報告するのをすっかり忘れてたことに気付き、慌てて「今から直ぐ帰る」と言って、タクシーを拾い喫茶店に向かう。


店の前で待っててくれたユミちゃんに詳しい事情を説明しながら喫茶店に入ると、ユミちゃんの顔が見る見る内に青ざめていく。


「ソレ、ヤバいよ……やっぱ、鈴音っち狙われてるんだよ……」

「ユミちゃんさんもそう思います?」

「絶対そーだよ!それで、このこと陸君には言ったの?」

「それが……まだ……」


苦笑いする私に、ユミちゃんは呆れ顔。


「もう!殺されかけたんだよ!陸君にちゃんと言わなきゃ~」


ユミちゃんに急かされ陸さんに電話しようとスマホを取り出したら偶然にも陸さんから着信があり、慌ててディスプレイをタッチする。


「もしもし、陸さん……」


すると、私が話し出したのと同時に陸さんの怒鳴り声が聞こえ、ビックリ仰天!


『バカヤロー!今、宅磨から電話があったぞ!喫茶店が放火されたそうだな?なんで言わなかった?』

「あ、ごめん……今、電話しようと思ってたとこで……」

『今?遅過ぎだろ?昼に俺が電話した時に何も言わなかったよな?それに、チビが熱出したそうじゃないか?』

「えっと~それは……病気じゃなくて……」

『嘘つけ!お前が作った離乳食のせいで下痢したって宅磨が言ってたぞ!』


あぁぁぁ……イケメン弁護士ったら、陸さんに全部話しちゃったんだ……


< 177 / 280 >

この作品をシェア

pagetop